※ ガキの頃の話 「最近、魂ってなんだろう、って考えるんだ」 舞さんは浅く微笑み、小首を傾げて続きを促す。……俺はあの人のそういう所作が好きだった。 「魂ってのを考え始めると、俺の人生が、なんだか俺のものじゃない、みたいな気分になる」 「昔生きていた、誰かのものなんじゃないか、みたいに思えちゃうんだ」 「生まれ変わりとかを信じて、今生きている自分の目の前にある、いやなことに立ち向かわないのは甘えだと思う」 「魂って考えは、どこか、今生きている俺の生《せい》に対する冒涜の様なものを感じるんだ」


舞さんは、確か否定も肯定もしなかった。 なんて言ってたか、詳しくは思い出せない。 その通りですね、といたわるように微笑んでたのは覚えているし、でも、 「魂って考えは、どこか救いがあると思うんですよね」 こう言って笑っていたことも覚えている。


この年齢になって、社会に出ても、やっぱり俺は、魂という概念。 昔の俺の言う、「生まれ変わりとか」は甘えだと思う。 けど、同時に救いというのも、少し分かるのだ。