どんなタイプが好きなの? と訊かれて、大抵の場合。 ……返答に困る。 母親のおかげで、10人居れば2人には「イイ」と言ってもらえる顔に生まれついたとは思ってるんだけど、(いや分かんないけどさ)(まぁ初対面で嫌悪を覚えられなきゃ十分だ) やっぱり多分オレは根本的には人間嫌いなんだ。
「愛の無いエッチはダメですよ??」 と氷上に釘を刺されて以来今生、あんま愛の無いエロには手を出せていない。 もう年齢も年齢で、んなピュアなことばっか言ってんじゃねーよぅ。と、いざ愛の無いエロに手を出そうとしたら、もうホント寸前も寸前で、(いやともすればチョットだけ踏み越えたとこで)頭の中で氷上が**「本当にいいんですか!?」「もう知りませんからね!?」** みたいなことを、うら若い感じで(あの人がまだどっかで生きていてくれるのなら、俺の年齢+19ですよ?)(← もう魔女の域ですよ)(……多分若いんだろうけどさ) 警句して来て、オイオイまじかよ。 と色んな意味で天を仰いじまった。オメー俺がここまで来るのにどんだけ労力と決心を。マジかマジかよ。みたいなことを。いや、俺の脳内で起きてることですけども。三つ子の魂というか、あぁ、これが躾というやつか。と。 昔々、夕陽の差し込む喫茶店で、指をピンと立てた氷上が、「貴方はきっとこのまま行くと、女で身を滅ぼすと思うんですよ」「優しいですし、節操無いですし」 「そこで祝福をあげましょう。だから契約です」と言い切った。 今から思うと「何言ってんだ……。」って話なんだけれど、 当時の俺は彼女には大人扱いされたかったわけで。(正直、信奉と言っても過言ではないくらいもうゾッコンだったし) 一方で、(今でも多分)本質的には甘えたがりのガキだから、なんだかんだとイチャモンをつけながら、貰えるものは貰うよ、と捻デレたんだと思う。 んでいざ何さと問うと、 「本当に好きな女の子以外とエッチなことをしなかったら、貴方はずっと女神の幸運を与えられ続けます」「………それ、オレが別に好きじゃない子とエッチしたらどうなるんだよ」「多分死にます」「……呪いじゃねぇか」
こんなことを今でも全面的に信じている訳ではないけれど、(いや、大学2年まではなんだかんだと信じてた気がするけど)サイエンス教に入信しなおしたあたりから、 アッハッハ まぁまぁよろしく護ってくれよ? って笑う感じに捉えるようになった。 多分精神的な距離がちゃんと氷上から離れたんだと思う。前にも考えたけど、会えもしない人にいつか会えることを期待して、裏切らないように、って生き方は、男としてどうなのよそれ。自分の足でしゃんと立ちなさいよ的なことを毒杯を飲み干すテンションで受け入れていったんだ。偉いぞ二十歳近辺の俺。 ……ほら、年齢重ねると身綺麗ばかりでは居られねーのさね。 けどまぁしかし、いざそういう感じになってみると、頭の中で警告されて、マジかマジかよとなって、思考停止していた。
やっぱ愛の無いエロはダメなのかなぁ〜みたいな感じで敗戦の感覚(笑)と同時に、どっか清々しく感じてたんだけども(あぁオレはやっぱりそーゆーのは向いてねぇのか、みたいな感じで)(ハイハイハイハイ、ニュートラルポジションはやっぱりそこなのね? みたいな) まぁでもしばらく例によって濾過の時間を取ると、体験と感情に対する言語化が進む。(自動式) ふと思い浮かんだのが、身体を異性と合わせた後の残り香について。 身体洗ってもどっかにしばらく残る相手の体臭。 「生臭坊主」って表現の意味、昔は分からなかったけれど、今は分かる。いや、分かる笑。 そうだよね、性って生臭いものなんだよね。 知らなかった。 好きな人とエロいことして、その残り香を含めて、生臭いと感じたことは無かった。 むしろ、離れてもしばらく付き従う相手の残り香に、好きな人を思い返してどこか切なさを感じで「フフッ」ってなる。 愛しさが募る。心がくすぐられる。 けど、愛の無いエロだと、その残り香に対して、少しの以上の嫌悪感があるんだな。 民族臭って概念をどこかで読んで、「ああ、俺これなんとなく分かる気がする」って思った記憶がある。 上記の嫌悪感は、多分俺の理想が勝手に高いのと、俺が性的にスレてない部分(謂わば愛の無いエロに対する慣れて無さみたいなもの?)に由来するものだろうか。 分かんない。セックスは奥が尋常ではなく深いし、人生は短い。 これから極める機会が来るのかなぁ。……どうなんだろう。エロを極めた俺というのを、俺はあまり想像出来なくてちょっとおもしろい。 愛とか恋とか、世は推しなべて失敗例ばかりさ。
どんなタイプが好みか。 わかんない。 オレはなにを以って人を好きになってるんだろうね。 外見から入って? 哲学を訊いて。 それで、はじめてイイって思う気がする。 「人は外見ではないよ」 「オレは顔の美醜はあまり分からない」 とか偉そうにのたまっておきながら、好きになったり付き合う相手は全員美人だったみたいだから、俺は俺のこのセリフと考えをあまり信じていない。 ま、面構えには人生が出るらしいからな。 その辺を見てるんだと思うんだけど。 同じものをイイと思って、でも違うからこそ興味を持って。 愛というものは難しいと常々思う。 まぁでも「それでも人は誰かを好きになる」んだ。