幼少期を過ごした町に戻って来ている。
再転入、という形で地元に戻って、かれこれ9ヶ月目なのだけれど、なんとなく、やっと「戻ってきた」感を感じた。
何がきっかけというわけでは無い。正直な感覚としては、この街はいいことと、悪いこととの両方の思い出があり過ぎて。
感情としては複雑だ。
肌感覚としては、『水が合う』というのを、根っこのところで感じながらも、何処か帰ってきた感覚が薄いのは、「出て行った時に居た人とか、今近くに居て欲しい人とかが、今この街にはもう居ないからなのか」と思っていたけれど、どうやら違うみたいだ。
部屋の中で、足りない自分を自覚して、夜をして色んな本を読んでいる時だった。
同じ感情を、昔のオレも、よく抱いていた。
戻ってきたという感情と、狂いたくなるくらいの歯がゆさのトリガーは、今と過去の感情が相似形を描いた時だったんだ。
そしてそれはやはり憧憬の様な、郷愁のような。
取り返しのつかない過去の俺と、やっと目が合ったような、そんな感情だった。